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トップ対談

<料理人と企業が手を組み、食の未来のためにできること>

RED U-35 2015 ゴールドエッグ受賞 The Burn エグゼクティブ・シェフ

米澤  文雄 氏

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木村  岳洋 

デジタルフォルン 副社長

デジタルフォルン_トップ対談 REDU-35The Burn エグゼクティブ・シェフ米澤文雄氏×木村岳洋⑥.png

料理とデジタル技術の融合の可能性

RED U-35 2015でゴールドエッグを受賞したThe Burnのエグゼクティブ・シェフ 米澤文雄氏は、日頃よりSNSを駆使しての情報発信やオンラインでの料理教室の実施など、食の新しい可能性にチャレンジすることで人気を博す料理人でもあるが、デジタル技術を完璧に使いこなせているかというと、そうではないと語る。そんな米澤氏と、デジタル技術を活用したより良い社会の実現を目指す株式会社デジタルフォルンの副社長 木村が食の分野でのデジタル技術の可能性について対談した。

 

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※この対談は、新時代の若き才能を発掘する日本最大級の料理人コンペティション

 RED U-35 2021 ONLINE内にて行われました。
※株式会社デジタルフォルンは、RED U-35のパートナ企業「オセアグループ」の

 一員です。

※文中に記載の組織名・肩書・取材内容などは、すべて2021年9月時点(対談時点)

 のものです。

 

〈あらゆるサービスが細分化する時代〉

デジタルフォルン_トップ対談 REDU-35The Burn エグゼクティブ・シェフ米澤文雄氏×木村岳洋.png

木村 岳洋・米澤 文雄 氏

木村:

デジタルフォルンのグループ会社であるオセアグループは、ITソリューションを提供する「デジタルフォルン」、デジタルマーケティングを提供する「サイトパブリス」などのIT事業のほか、デジタルテクノロジーを駆使した地域エアコミューター事業など、デジタルをべースに幅広い事業を展開しています。

グローバルでは、アンドロイドトータルシステムプロバイダー「サンダーソフト」を2008年に中国で創業。2015年には日本企業が出資したIT企業の事例としては2番目となる上場(深圳市場創業板)を果たしました。中国ではほかに、介護事業も展開しています。

私はデジタルフォルンで、デジタルテクノロジーを活用してお客様のビジネスの拡大やビジネスモデルの創出に取り組んでおりますが、食の業界でも貢献できることがあるのではないかと感じています。そんな想いから、当グループは、RED U-35 2021 ONLINEのパートナーとして参加させていただくことにしました。

米澤氏:

日照時間や気温、土壌の水分量を計測しながら、水やりの量やタイミングを管理するトマト農家さんなど、デジタル技術を導入する生産者が増えており、食とデジタル技術の融合が進んでいることを実感する毎日です。新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、インターネットで食品を購入し、自宅で調理する方も増えていますよね。

木村:

実際、AIを活用して、水、光量、温度、湿度などをコントロールし、野菜の安定生産を実現する企業も登場しています。また、ネットで注文し、運ばれてきた食材を家で消費するというケースは今後も確実に増えていくでしょう。この先、我々の業界を含むあらゆる分野で、顧客のニーズはより細分化され、マーケットはニッチなものと推測しています。飲食業界でいえば、料理のジャンルやサービス形態において、さらに多彩なスタイルが現れるのではないでしょうか。

〈レストランの予約システムに見るデジタル技術の課題〉

デジタルフォルン_トップ対談 REDU-35The Burn エグゼクティブ・シェフ米澤文雄氏×木村岳洋②.png

米澤 文雄 氏

米澤氏:

レストランの予約システムは、その最たるもの。当店では、5~6社の予約サイトからそれぞれ予約情報が入ります。かつては、各データを1枚の表にまとめるという非効率なことをしていました。最近、それらの予約情報をひとつにまとめてくれるサービスが登場しましたが、正直、まだまだ不十分な点があり、使い勝手がいいとは言い切れません。予約を締め切るタイミングも難しくて、たとえば17時半オープンの場合、15時でネットの当日予約を締め切らざるを得ないんです。というのも、オープン時間ギリギリまで受け付けてしまうと、開店前のミーティングで当日の予約をスタッフ全員が把握できなくなり、結果、現場が混乱してしまうからなんです。

木村:

予約システムの増加は今後も続くと思われますので、それらを一元的に把握する施策がほしいですよね。開店直前に予約を把握できないという問題の解決策として、たとえば3分おきに各予約サイトの最新状況をRPA(Robotic Process Automation)などで把握し、それを店舗に集約させ、メールなどでお伝えする、という自動化は可能でしょう。今お話いただいたような、現場で発生している課題をご相談いただければ、我々もきっとお役に立てるはずです。

   

〈コロナ禍以降に増加している食の分野におけるデジタル化〉

デジタルフォルン_トップ対談 REDU-35The Burn エグゼクティブ・シェフ米澤文雄氏×木村岳洋⑤.png

木村・米澤氏

米澤氏:

コロナ禍以降、食の分野ではどのようなお仕事が増えていますか?

木村:

増えているのは、主に3つの領域です。

1つ目は、オンライン販売に関する領域。たとえば、コロナ禍以前は飲料の卸業とレストランをメインの事業とされていた企業様からご相談をいただき、BtoC向けのオンライン販売事業と、その関連サイトを短期間で立上げました。

 

2つ目は、店舗での販売見通しに応じて、サプライヤーへの発注・在庫適正化の流れをデジタル化するという領域です。こちらは、変化する販売見通しにスピーディに対応したいという食品を扱う小売業のお客様からのリクエストにお応えしたものです。

 

3つ目は、自動化。転記などの単純定型業務を自動化したいという、コロナ禍以前よりご要望の多い領域です。たとえば、先ほどの複数の予約サイトからの情報を取得して、店舗に連携させるというものもこれに含まれます。従業員が店舗やオフィスで作業をせずとも、自動的に必要な情報が必要な時間に入手できるということが、今後のスタンダードになっていくかもしれません。

〈デジタル化し得ない料理の側面〉

デジタルフォルン_トップ対談 REDU-35The Burn エグゼクティブ・シェフ米澤文雄氏×木村岳洋③.png

木村 岳洋

木村:

米澤さんは、オンラインでの料理教室に積極的に出演されていらっしゃいます。リモートで料理を教える難しさや限界はどんなところにあるとお考えでしょうか?

米澤氏:

私は画面越しでも人に教えるのが得意なほうだと思います。ただ、リモートで教えやすいものと、そうでないものがあるのも事実です。たとえば、豚肉何gを、塩何gで、何分茹でて、というように、レシピのすべてを数値化できる料理は、画面越しでも伝えやすいですし、失敗も少ないんです。一方、教えにくいのは、そば生地のように、どれくらいの硬さがちょうどいいのかなど、さわらなければ伝わりにくいものですね。どう工夫しても、これらの情報を画面越しに伝えるのには限界があるんです。ですから、すべての工程を可能なかぎり言語化できるレシピづくりを心がけています。

木村:

リモート料理教室におけるデジタル技術については、まだまだ進歩の余地があると思っています。現在、自分でセットしたカメラを前に調理される方が多いですよね。料理人がカメラワークにも気を配らなければならないそんな現状に対し、我々は彼らが調理に集中していただける技術を構築したいと考えています。たとえば、料理人が装着した軽量のカメラやセンサー付きの手袋から、その目線や手の動きを抽出しデータ化して、視聴者のヘッドセット(マイク付きヘッドフォンなどの音響機器)に転送することで、プロの動きが手にとるように共有できるテクノロジーが生まれるのではないかと思っています。

米澤氏:

そういう技術なら、きっと子どもたちもすごく興味を示してくれるでしょう。コロナ禍にあふれた、レストランの苦境を伝える報道の影響で、料理人になりたい子どもが減ってしまうのではないかと思うとショックで……。実際に苦労も少なくないのですが、それでも料理人の仕事の醍醐味は金銭的な利益の追及ではなく、自分が手がけたおいしい料理をお客さまに喜んでもらえること。それこそが最高の幸せなのです。

木村:

私の立場と矛盾するかもしれませんが、料理にはデジタル化してほしくない部分がたしかにあります。先日、家族で鉄板料理屋に行きました。ところが、デジタル画面でオーダーした料理が、奥の厨房から運ばれてきて、それを仕切られたテーブルでいただくというシステムに変わってしまっていて……。鉄板料理の醍醐味のひとつである、目の前で披露される優れた技とともに美味しい料理を満喫するというエンターテイメント性を味わえませんでした。子どもたちの楽しい思い出にもなったはずなのに……。感染症対策なので仕方のない部分もありますが、コロナ禍以前は目の前の鉄板で料理をしてくれる店だったので、残念な想いをしました。

米澤氏:

それでは、もはや鉄板料理ではないですものね。おっしゃるように、料理の一番大事な部分はアナログでなければなりません。つまり、料理に込めた想いや、サービスを通したお客さまとのコミュニケーションをデジタルに変換することは不可能です。このように核となる部分がアナログなので、レストランにどんなデジタルサービスがあったらうれしいですかと、よく聞かれるのですが、うまく答えられないんです。おそらく木村さんのようなデジタル技術のプロフェッショナルにレストランを1日体験していただくのがベストだと思います。朝の仕込みから、ランチ営業を経て、まかないの時間、そして休憩をはさみ、ディナー営業をして、最後に食材の発注かけて……。1日の営業が終わったとき、「これはものすごく効率悪いな!」と思える部分が見えてくるのではないでしょうか(笑)。

木村:

実際に顧客企業様の業務を詳しく教えていただくことで、非効率な部分に気づくことが多いんです。我々はユーザー目線をひじょうに重視しておりますので、ぜひ体験させてください。

米澤氏:

我々料理人が当たり前にやっている仕事のなかには、あるいは「こんなシステムを導入することで効率化できるかも」という部分もあるはずです。ですから、ぜひ体験しにきてください。本日はありがとうございました。

     

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The Burn エグゼクティブ・シェフ

米澤文雄(よねざわ・ふみお)

1980年、東京都生まれ。高校卒業後、恵比寿イタリアンレストランで4年間修業。2002年に単身でNYへ渡り、三ツ星レストラン「Jean-George」本店で日本人初のスー・シェフに抜擢。2018年に「The Burn」料理長に就任。2019年に自身初となる「ヴィーガン・レシピ」本を出版。コロナ危機の最前線で闘う医療従事者のため、トップシェフ達が料理を届けるプロジェクト「Smile Food Project」にも参加。RED U-35 2015ゴールドエッグ受賞。

 

The Burn

東京都港区北青山1-2-3 青山ビルヂングB1F

定休日:月、祝

http://salt-group.jp/shop/theburn/


株式会社デジタルフォルン

取締役 上席執行役員 副社長 事業部門管掌

木村岳洋(きむら・たかひろ)

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