DIGITAL VORN CONFERENCE

ーデジタルトランスフォーメーション時代のキーパーソンが現在と未来を語るー

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 いよいよオリンピックが開催される2020年に向けて国全体が盛り上がっている一方、デジタルトランスフォーメーション(DX)に代表されるようにデジタルテクノロジーの進化によって社会・企業の様々な変革が加速度的に進んでいます。

 

 弊社は1961年に創業以来、テクノロジーの進化を見据え時代に合わせた変革に取り組んでまいりました。そこで、次の100年企業を目指すべく2019年9月2日(月)に「株式会社デジタルフォルン」に社名変更し、企業がこうした社会の大きな変化にどう対応していけばよいかを考えるべく、専門分野からスピーカーを招きカンファレンスを開催しました。

 

 RPA、AI、デジタルマーケティングという具体的な視野において現状のリフレクションと未来予測を交えつつ、多くの手法と解決策を提示。さらにオリンピックに向け、スポーツ分野からもゲストを迎えて社会や組織の変化に向かう心構えを学びました。

第一部:NEXT RPA 第二ステージに突入した最新RPA

 RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、デスクワークをパソコンの中にあるソフトウェア型のロボットが代行・自動化する概念である。日本では2016年頃からRPA概念が普及し、現在ではIoTやAIと並び誰もが一度は耳にしたことのあるキーワードだが、まだまだ一般的に詳細までは認知されていないためAIとの違いや関係性を把握されていない方も多いのが現実である。第一部では組織における働き方改革に有効なRPAの本質と、この先に何が起きるのかを専門分野のプロフェッショナルが語った。

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野村 忠宏 氏の講演の様子

ー折れない心ー

柔道家・東京2020聖火リレー公式アンバサダー野村忠宏 氏

 カンファレンスの開始に先立ち、株式会社デジタルフォルンCOO太田努氏が登壇。2020年に東京オリンピックが開催されるため、太田氏はこれまでのオリンピックとイノベーションについて歴史を振り返った。1960年のローマ大会ではテレビによる生中継が行われ、1968年のメキシコ大会ではカラーテレビが普及し、1998年の長野大会ではインターネットの普及率が10%を超えた。さらに2000年のシドニーではデジタルカメラの出荷台数が倍増し、2012年のロンドン大会では観戦はスマートフォンで行われるという大きなイノベーションと共にオリンピックは開催されてきた。

 

そして2020年。デジタルはさらに進化して5G・IoT・ドローン・認証技術などのあらゆる要素が集約され、社会はデジタルに飲み込まれていくだろうと予測。その中でも核となるDXはさらに一般的な概念として普及し、次のDXはどのようになるのかをこのセッションで学んでいただきたいと述べた。

 

その後、太田氏の紹介で「平成の三四郎」と呼ばれるオリンピック三大会連続金メダルを獲得した野村氏が登場して会場は大いに湧いた。

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 幼い頃から柔道一家という家庭環境で育ち、柔道が大好きだった野村少年だったが、意外にも小さい頃は女子に敗れるほど弱かったと語る。高校時代には父親から全く期待もされず、いつか見返したいという悔しさがあった。

 

そんな野村氏の転機は柔道の名門である天理大学に入学し、尊敬できる師についた時である。大学二年まで校内予選で負け続けていたにも関わらず、監督のアドバイスによって集中力を養い練習の質を極限まで高めたことにより頭角を現し、遂に四年生の時にはアトランタで金メダルを獲得する。この時に学んだことは「変化のチャンスを逃さない」「焦りや不安を顔に出さない」そして「絶対に諦めない」ことだった。その努力は、四年後のシドニーでも金メダルを獲得し、二連覇を達成したことで報われた。

 

しかし、三度目のオリンピックを前に野村氏は二年間柔道から離れてしまい、復帰しても負けが続いていた。野村氏はそれでも諦めず、自分の弱さの要因は過去のプライドだったと分析し、ゼロから心技体を鍛え直して代表の座を掴み取ったアテネ大会で、柔道史上初の金メダル三連覇を達成する。

 

野村氏曰く、柔道は「ずっと学び続けること」だ。目的を達成するには時間がかかる。だが決して諦めなければ必ず結果が出る。これはデジタルを軸にしたビジネスも同じであり、未来は今の瞬間の積み重ねなので頑張って欲しいと締めくくった。

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笠井 直人 氏の講演の様子

ーデジタルレイバーとの融合で世の中が変わるー

RPAテクノロジーズ株式会社 執行役員 笠井 直人 氏

 2016年頃から大きくクローズアップされたRPAも現在は落ち着きを見せ、昨今ではRPAバブルの終焉とも言われている。そこでまずRPAテクノロジーズ社の活動を介して現在におけるRPAの利用状況が説明された。

 

デジタルレイバー(仮想知的労働者)の派遣型サービス「BizRobo!」のサービス開始は2018年。初年度は440件の導入であったが、1年後の2019年には1,560件超に増加して5,772以上のユーザーが利用している。さらに人材不足が深刻なメディカル業界との協会設立や東北での地産地消プロジェクトへの参加等により、今後デジタルレイバーによる労働力はますます増加する傾向にあるという。

 

そうした背景を踏まえ、RPAについて丁寧な解説が行われた。これまで人間が手作業で行っていた業務をデジタルレイバーと呼ばれるロボットに代行させることがRPAであり、導入は加速度的に進んでいる。しかし、導入が進むに連れて様々な課題が見つかることで、現在は一般化されている一方で幻滅期にも陥っているという二極化が課題であるという。

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 RPAのシンプルな活用法として、社内の請求書作成業務に三営業日かかっていた手作業をRPAで効率化して35秒で完了させる動画を紹介。重要なのは35秒で終了したことよりも、担当者が神経を使う作業から解放されるようになったことが重要だと笠井氏は語る。

 

つまりストレスから解放された人材が、より作業の効率化を求めて他の新しいロボットを作り続けるという「やめられない・とまらない状態」が発生する。このように現場主導で増殖するRPAこそが成功の秘訣だ。

 

現場主導型の成功例として、大手住宅建材企業内で500人の社員がロボットを開発する際、自発的に作業を楽しんで自動化することで最終的に社内の働き方改革にも大きく貢献した事例も紹介された。国内で問題とされている2030年の労働力不足の課題、そして目前に迫った「2025年の崖」への対応策として、RPAは欠かすことができない存在と言えよう。

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株式会社IDOM社 (左)紺野 氏 (中央)長川 氏 (右)栗山

ーRPA成功事例!導入の背景から今後の取り組みについてー

株式会社IDOM BPR推進室 長川 武史 氏

株式会社IDOM ITチーム 紺野 良太 氏

株式会社デジタルフォルン RPAシニアエバンジェリスト 栗山 勇

続いて、株式会社IDOM(イドム:以下、IDOM様)にてRPAの選定から導入、運用までを担当する長川様、紺野様の両氏を迎え、デジタルフォルンの栗山をモデレータとしたRPA成功事例の紹介が行われた。

 

IDOM様は中古車買取・販売事業である「ガリバー」を運営しており、現在は月額でのカーレンタル事業、個人間での車の売買をするプラットフォームの運用事業、専用アプリによる車の査定サービス、個人間のカーシェアリングという4つのサービスに注力を置いて取り組んでいるとの説明があった。

 

このように多様化する事業の展開により、現状300程度のシステムが稼働しており、多数のシステムにデータを登録する必要があり、この複雑なオペレーションを解消させることがRPA導入の背景となった。

 

RPA導入する以前の取り組みとしては、作業のマニュアル化、社員業務のアルバイト化、オペレーションセンターへの業務集約、システム化など改善を進めてきたが、これ以上の業務改善が難しいと判断した。代替手段を検討している際、RPAというキーワードを見つけ、ロボットは人間と違い24時間稼働できることに注目したということであった。

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  RPA導入サポートツール「BizRobo!」を提案したデジタルフォルンは「RPAの取り組みはそれほど簡単ではない」と最初に説明をした上で、検証フェーズにより、ある程度複雑な業務をロボット化させることで、他の業務にも対応できることを実感してもらい、そこから6ヶ月間、ベースとなるロボットをデジタルフォルンにて作成したものを題材にした研修の実施や社内で作成されたロボットのレビューなど、内製化に向けて徐々にIDOM様へバトンを渡した。その結果、本番環境では23体のロボットが稼働し、2万時間の削減が実現できたという。

 

当初IDOM様は他のRPAツールとしてクラウドタイプやローカルタイプも候補に挙げていたが、業務の用途と精度において最も適していたのがBizRobo!であったという。その導入支援のパートナー選定に際し、弊社デジタルフォルンを選択したのは、コンサルティングだけでなく、サーバー構築から開発・研修まで一貫した提案であったことを重視し、コンサルタントとエンジニアのスキルを併せ持って対応できることにも期待していたと語った。

 

導入後もリモート環境が整っているためレスポンスが早く、担当者がBizRobo!以外にも柔軟に対応できるIT知識を持っていることには助けられているという。今回は本部オフィスにおけるRPA導入であったが、今後は本社を含めて2つの大きなオフィスへのRPA導入を目指し、6万時間の削減を行いたいと抱負を述べた。

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木村 岳洋の講演の様子

ーRPA×デジタルソリューションを駆使したアジャイル業務改革ー

株式会社デジタルフォルン 取締役 木村 岳洋

日本国内の高齢化と人口減少は避けられない現象であり、それに伴い既存事業モデルは弱体化して技術革新のスピードはますます加速する。木村氏の率いるコンサルティング部隊は、業務効率化とデータ分析を事業領域としている。

 

スピードが求められる現代においては、従来のウォーターフォール型からアジャイル型の業務改革に移行することが求められるが、その際には根性論でアジャイルを進めるのではなく、より優秀なツールを使いながら改善の結果を出すことが重要である。

アジャイルを定着させるには、「ソリューションチームの編成」「人材強化」「人材評価システム」そしてチャレンジする風土を育てるための「企業文化の変化」という4項目が重要であると語る。さらに改革を支えるには「民主化・大衆化」「高速化」「連携強化」の3要因が成功への条件となり、結果的に行動や意識が改革されるという。

 

さらに、RPAによって自動化された工数の差が大企業において全社展開を目指している企業において、年間2万時間以上の効果を創出している企業が約30%存在する一方で、

年間5千時間も満たない企業も約25%存在するというように二極化している事が

RPA導入企業を対象にした調査資料によって示された。

格差の原因としては「開発できる人材や体制が不十分」という回答が上位を占めている。


そうした課題を抱えている企業に向け、デジタルフォルンはBizrobo!ゴールドパートナーとして認定を受けたことを発表した。社内の開発者強化に力を注いでいることで顧客に高度なサポートを提供していることが理由であり、RPAとそれ以外のソリューションの組み合わせを提案できることも大きな強みである。具体的な事例として「Boomi」というデータ連携プラットフォームと「すぐロボ」という自動化ツールが紹介された。「すぐロボ!」は、RPAのように、都度、ロボットを開発するのではなく、デジタルフォルンにて予め開発した業務タイプ別ロボットを提供する形なので、

ユーザー部門の方々でも簡単に自動化ができ、ツールを活用する上での習得時間もほぼ不要となっている。もちろん、RPAとの併用も可能である。また、1台あたり月数千円~と非常に安価なので、費用対効果も得やすいツールである。

 

激動の環境変化をチャンスと捉え、日本のパフォーマンスを圧倒的に向上させる以外には前向きで明るい未来は切り拓けないと締めくくった。

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第二部:加速するAIデータサイエンス時代の

ネクスト・トランスフォーメーション

 DXの対応が急務とされている社会においてRPAとAIを混同している企業も少なくない。労働力の代替として使われるRPAは次の課題に向けて進化しているが、頭脳の代替として導入が進むAIも、同様に次のステージへと進化している。第二部では進化するAIにフォーカスし、AIとRPAの組み合わせによるDX達成のプロセスを検証した。

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横内 大介 氏の講演の様子

ーXAI(eXplainable AI)の開発を支えるデータサイエンスー

一橋大学大学院 経営管理研究科 准教授 横内 大介

 まず、AIとは、簡単に言えば「関数」であり、質問(入力)すれば回答が出るという仕組みである。人間の経験値を考慮して作られたAIが第二次AIブームで注目されたエキスパートシステムであり、現在の第三次AIブームではデータから知識を構成し回答するAIが主流である。

 

現在の開発手法としては「機械学習」と「探索的データ解析」の2種類がある。機械学習は最もよく使われるAIの実装方法であり、探索的データ解析は解析者がデータに潜む規則性を探りAI化する手法である。前者でのAI作成は容易であるものの,手間のかかる後者の方が結果として高い予測精度を得やすいことが多い。

 

機械学習でブラックボックス化してしまうAIに対し、探索的データ解析で作られた説明可能なホワイトボックス型のAIはしばしばXAI(eXplainable AI)とも呼ばれ、AIが行った回答の根拠を詳細に説明できることが大きな特徴である。

また、探索的データ解析がにわかに注目されている理由には、AIを活用して弊害が起きた場合の責任は開発者にあるという社会原則が採択されたことが大きい。アカウンタビリティ(説明責任)の視点からも流れはXAIに向かっていると横内准教授は語った。

                                                

その後は、機械学習とXAIの回答の違いを企業の格付け予測を例に解説した。機械学習がしばしば予測を失敗するのに対し、XAIは予測精度に変化がなくメカニズムの解釈も容易であることを説明した。

 

XAIを作るには、従来の正答追求型のエンジニアタイプから、データの読み書き能力(データリテラシー)を持つデータサイエンティストを育成することが重要である。データベースの作成にしても、現象の裏側にある「なぜ」を理解しているデータサイエンティストか否かによってデータベースの価値は大きく変わり,結果としてそのデータベースから作ったAIの回答精度にも大きく影響する。


成功するDXとは、単なるデジタル化ではなく実務に耐えうるか否かが重要であり、アカウンタビリティを重視しないケースは失敗する。そのためには社内研修や留学などを利用して真のデータサイエンス人材を育成し、継続的に利用可能なデータベースの構築とDXを推進できるリーダーやパートナー企業の確保が求められると締めくくった。

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平手 智行 氏の講演の様子

ーデジタル技術主導の価値創造サイクルによる企業競争力の創出ー

元デル株式会社兼EMCジャパン株式会社代表取締役会長

現グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 日本代表 平手 智行

 続いて登壇した平手氏は、従来の産業革命が身体の拡張だったのに対して現在の第四次産業革命は知能の拡張であるため、デジタルを味方につける必要があると語った。

 

テクノロジーは5年ごとに10倍に増加しており、CPUは100倍、SSDは400倍へ進化した。ネットワークは5G導入が控えており、累計すると1000倍の進化スピードを保有している。身近なものに例えると、2001年に1億ドルかかっていた遺伝子解析のコストは2017年に1,000ドル以下となり、10万分の1のコストダウンになっている。

 

企業におけるDX導入を考えてみると、この10年でデジタルデバイスは10倍、その中で走るデータ容量も10倍、そしてDXに費やされるコストも2018年から4%増えている。経済産業省の「2025年の崖」レポートにおいても注意喚起が行われているように「うちの会社のDX導入はまだ先でよい」ではなく、すでに「待ったなし」の状態なのだと語った。

デジタルテクノロジーを軸にした価値創造のサイクルが企業の競争力を創出する時代になってきている。[データ収集]→[知見の獲得]→[知見の可視化]→[素早い対応]というフローを回すことでデータをビジネス化することが可能になり、DXを軸にイノベーション型ビジネスへアプローチできるチャンスがすべての企業にあるという。

 

その事例として、F1レーシングのマクラーレンはレーシングカーにセンサーを取り付けてレース中にデータ解析を行いリアルタイムな戦術変更を可能にしたが、その技術を他分野にトランスフォーメンションして現在は医療ビジネスに進出していることを紹介。さらに、AeroFarmsは水耕栽培にテクノロジーを用いて通常の390倍の生産性を達成し、顧客のニーズに即した野菜を供給している。これらはすべてデータ活用の勝利なのである。

 

AI、IoT、エッジ、コア、クラウドというシームレスな環境が整っている現在では早急にDXに取り組むことが第四次産業革命での勝者に近づけると語った。

 

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正井 拓己 氏の講演の様子

プロセスとプラットフォームからDXを支援するPivotalアプローチ

Pivotalジャパン株式会社 エリアバイスプレジデント兼

日本担当ゼネラルマネージャー 正井 拓己

※講演時の社名、肩書は開催当時時点のものです

Pivotal(ピボタル)はソフトウェア開発会社としてシリコンバレーで誕生。リーンスタートアップやアジャイルにいち早く着手し、現在はエンタープライズのソフトウェア開発のあり方を変えることでDXを支える企業だ。

 

2020年までにデジタルビジネスに関連したアプリケーションの75%は外部調達ではなく自社で開発されるようになると予測され、企業は欧米のようにリーンスタートアップやアジャイルに真剣に取り組まねばならない。その支援としてPivotalはプラットフォームをベースにツール、メソドロジー、カルチャーというベストプラクティスを提供している。

 

そのベストプラクティスはシリコンバレーにあるPivotal本社と同じ手法を採用。シリコンバレーとは「場所」ではなく「考え方」すなわちマインドセットだという。そのためPivotalは企業にとっての道場のような役割で全世界に24拠点のラボを作り、シリコンバレー手法を世界に根付かせることに重点を置いていると語る。

 

日本では六本木にラボを設置し、企業エンジニアはそこに出社してPivotalのエンジニアとペアを組み、一対一で開発を行うというユニークな手法を採用している。参加企業は開発された成果物だけでなくノウハウまで手に入れられるため、その後は自社だけで開発可能になることが特長である。

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さらに、開発を支えるにPivotal Platformを提供している。これまで企業が多くのサービスやツールやクラウドの検証に要していた労力とコストをカットし、アプリケーションの開発からコンテナ管理までを、複数のクラウドに対して提供し、クラウド毎の違いはPivotal Platformが吸収する。プラットフォームとベストプラクティスの両方を用いなければ、デジタル時代が求めているスピードに対応していくことは難しいと語った。

 

最後に日本のDX変革の課題点と成功要因について触れ、「経営層の理解」「ビジネス課題の目標の明確化」「テクノロジー採用に積極的」「小さなプロジェクトから開始すること」が重要であり、それらの成功体験を積み上げていくことが大きなDX実現の第一歩であると述べた。

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瀧澤 高志の講演の様子

ー2025年の崖を越えて DX推進の今とその先へー

株式会社デジタルフォルン ユニットディレクター 瀧澤 高志

 デジタルで企業の内部と外部に変革を起こすことでネットとリアルの融合した顧客体験の価値を創出し、結果として競争優位性を確保できる。この活動そのものがDXであると瀧澤氏は語る。具体的には、クラウド、モバイル、ソーシャルにおける社会・企業・個人の関係をデータ分析して新しいサービスを提供することが求められるという。

 

そのような背景の中、日本では2018年に経済産業省がDXレポートを公開。企業が現状のままの経営を行うのであれば既存のITシステムは「2025年の崖」と呼ばれる危機を迎え、何の対処も講じない場合は2030年までの年額12兆円が損失されるというのである。

 

その2025年の崖には具体的に3つの崖があるという。まず「崖1:環境の変化」では「消費者の世代変化」、量子コンピュータや5G等による大量データ処理が可能になった「技術の進化」、そして昨今のUberEATSのような「規制・業界変化」もさらに加速すると予測される。

 続いて「崖2:人材不足」としてIT技術者が2025年には43万人も不足するだけでなく、AIやアジャイル開発等の先端技術者も不足すると指摘された。そこには技術者のスキルシフトや、過去のシステム・プログラムを知る技術者が引退する際に技術継承をどうやって進めていくのかという課題がある。

 

最後の「崖3:技術負債」ではSAPやWin7などが延命できないことが例に挙がった。日本では、IT予算の八割がシステムの保守に使われるため新しいことができず、既存システムもブラックボックス化していることで改良もできないという、身動きが取れない状況があると語る。

 

では、この3つの崖を超えるにはどうすればよいのか?現実には掛け声ばかりで課題が多く、挙句の果てには「GAFAになれ!」と無理難題を押し付けられるケースも多いという。

 

そこで瀧澤氏からは、確実に崖を超えるための3つの手法が紹介された。まず、組織内でビジョンを共有する「当事者意識」。特に経営層がコミットしてデジタル時代におけるビジョンを示すことが重要だという。続いて顧客に提供する価値を技術と機能を鑑み再設計する「コアの再定義」が必要。そして提供しているサービスをすべて残すのではなく本当に必要なものを取捨選択する「断捨離」が求められているという。これらの手法によってDXを推進することが社会の求めている企業を作っていくことになるだろうと述べた。

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第三部:勝つブランドのデジタルマーケティング

 DXの活用において、RPAが組織内の効率化やコスト削減などを目標として組織の内側の改革を目指すものに対し、デジタルマーケティングは外側に向けたアプローチである。すなわち企業のステークホルダーの中で直接利害に関係する顧客への取り組みだ。個人と組織がデジタルで接続されている社会では、マーケティングツールの活用が最も求められている手法であると言えよう。

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太田 雄貴 氏の講演の様子

ーDXの実現はトップの熱意であるー

公益社団法人日本フェンシング協会会長 太田 雄貴

 太田氏が業界の改革に注目したのは銀メダルを獲得した北京オリンピック以降。メダル獲得にも関わらず競技会場は空席ばかりだったという。

 

どうすれば人気のある競技にできるか某音楽プロデューサーに相談したところ「メダル獲得で認知は広がるが、人気は獲得できない。認知よりも先にコアなファンを掴んで人気を取るべき」とアドバイスされたという。

 

そこで太田氏は「誰に見てもらいたいのか」を考えて観客という属性のステークホルダーを分析し、まずはコアなファンの獲得に全力を傾けようと決意。「フェンシングは感動体験を伝える競技である」と明確なスタンスを打ち出した。

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 次にフェンシングの楽しさを観客にわかりやすく伝えるために、AI解析を駆使して剣先がどこを突いたかを可視化した。これにより、観客はフェンシングがわかりやすい競技であることを実感できるようになった。

 

さらに試合の有料化と観客数増加の実現に向け、試合をすべて決勝戦だけにした。試合会場もブランドを高めるため東京グローブ座や渋谷公会堂を選び、ポスターには蜷川実花さんや篠山紀信さんを起用。演出面でも選手の心拍数の表示、試合前に選手のプロフィール動画放映や館内のラジオ放送とデジタルを駆使。これまでとは全く異なるアプローチを導入したことで、2016年に150人だった観客は2年目には700人となり、40時間で完売したという。

さらにチケット完売後も新しい観客を獲得するためAbemaTVで中継を行ない、選手のSNSで拡散を行なった。この経験でわかったことは、スポーツの本質は変えずとも音響・照明・音楽・観客の質を変化させることによって異なるスポーツに昇華させることが可能であるということである。そして競技を可視化する仕掛けにデジタルを用いたことで、スポーツの領域をエンターテインメントまで高めることに成功したと語る。

 

最後に、DXを実現するには「トップの熱意である」と言い切る。どんなにデジタルを駆使して変えようと思っても、トップが「変えるんだ」と決意しなければ前に進まないと語った。

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春日井 由紀子の講演の様子

ーステークホルダー・コミュニケーション・サービス 〜コンテンツマネジメントからコミュニケーションマネジメントへー

株式会社サイト・パブリス

プロダクトマーケティング部 春日井 由紀子

株式会社サイト・パブリスは、自社が取り扱うCMS「SITE PUBLIS」とステークホルダーとのコミュニケーション課題の解決方法を語った。SITE PUBLISは2002年から現在までに630社以上の企業や団体に導入されており、海外製品の多いCMSの中で純国産であること、かつ開発から保守サポートまでを一貫して自社で行っていることが強みである。

 

現在は2種類のサービスを展開しており、一つは顧客の悩みに対して解決方法を組み立てる「オーダーメイド型」。スポーツジムで例えればパーソナルトレーナーがトレーニング方法や食生活をアドバイスし、会員と伴走するようなイメージだと春日井氏は語る。

 

そして新しいサービスとして開始したのが「パッケージ型」。これは、CMS活用を顧客単位ではなく課題単位で提案する手法で、オーダーメイド型と比較するとコスト的にも手軽にスタートできるという。このCMSをベースにした課題ごとの解決手法を、ステークホルダー・コミュニケーション・サービスと呼んでいる。

企業にはエンドユーザーだけでなく、取引先、求職者、店舗・代理店、社員、投資家、地域・社会など多くのステークホルダー(利害関係者)が存在する。パッケージ型はステークホルダーごとにあらかじめ課題を策定、例えば求職者には採用情報、社員には社内報という具合だ。さらに課題に対し、解決策をオールインワンで実装している。

 

あらかじめテンプレートが用意されており、短時間で課題解決を実現できる仕様になっている。実際に壇上では動画コンテンツの制作フローが紹介されたが、これは700種類のフォーマットから自社のスタイルに合うものを選択し、手順に従って入力を行うだけで効果的な動画コンテンツを生成し、公開することができるものである。

 

これからのCMSは、コンテンツ管理だけでなく、コミュニケーションのマネジメントが重要と春日井氏はいう。すなわち「知りたい情報」と「伝えたい情報」の整理である。より多くのコミュニケーションを素早く成立させることが、DX時代に求められているといえよう。

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新家 伸洋 氏の講演の様子

ーB to B グローバルブランディング ✖︎ デジタルー

ダイキン工業株式会社 化学事業部マーケティング部長 新家 伸洋

 続いて製造業がBtoBのグローバルブランディングを実現するためのデジタル活用事例が紹介された。

 

フッ素化学を扱うダイキン工業化学事業部は世界2位のシェアを獲得しているが、近年の中国企業の成長に代表されるように、今後も世界市場で戦っていかねばならないという課題がある。原料メーカーはエンドユーザーであるメーカーに向けてのBtoBブランディングが重要であると考え、近年はデジタルマーケティングに最も力を注いでいる。

 

一般的に、マーケティングアプローチは2000年を境に大きく変化しているという。2000年以前は顧客訪問や展示会がチャネルの中心であったが、現在はインターネットを軸にWebサイトやSNS、サーチエンジン対策が中心になっている。

 

この現象は、自社からのアプローチが90%であった2000年以前に対し、デジタルを中心に据えたマーケティングでは70%以上が顧客からのアプローチという逆転が起きていることからも明らかである。つまり顧客が情報収集を行って材料メーカーを選別する時代になっており、取引先獲得のアプローチのフローは[知ってもらう]→[理解してもらう]という流れが極めて重要であると新家氏は語る。

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 ダイキン工業では、顧客が認知する段階においてはグローバルで一貫したブランドメッセージを発信する重要性を認識し、ブランドガイドラインを策定。そして顧客の求める情報のペルソナ分析を行うことによってステークホルダー属性を想定し、CMSとMAを活用して顧客のニーズにあった情報をタイムリーに発信する。さらに、素早く・丁寧に顧客対応した結果をCRMに登録することで、世界中の顧客情報を共有、分析しているという。いずれもデジタルツールの力なしでは実現できないものである。

 

日本の化学産業が世界を相手に勝ち残っていくには、デジタルツールを用いたマーケティングの導入は不可欠である。さらにダイキン工業ではDXの取り組みの一環として大阪大学と連携し、自前でAI人材の育成を行っている。世界を相手に戦うためにはこのようなDXやオープンイノベーションへの取り組みが非常に重要だと述べた。

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後藤 洋 氏の講演の様子

ーデジタル時代のCX:心を揺さぶるブランドコミュニケーションー

トライベック・グループCEO 後藤 洋

世界中が未曽有の大変革期を迎えている中、何が起こり、何が変わったのかを把握する必要がある。すなわち1990年から2010年までの「失われた20年」といわれる期間の振り返りが重要であると後藤氏は語る。

 

これからの時代を担うミレニアム世代は価値観の大変革期を経験している。消費行動が「モノ」消費から「コト」消費へと変化したことで、心が動く(=感動体験)訴求こそが購買に結びついているという。

 

モノ訴求とコト訴求の違いについて食品会社のCM動画を紹介した。モノ訴求のCMでは美味しそうな映像を多く使っているが、心が動くとは言い難く差別化が難しい。一方コト訴求のCMは心が動く家族の日常をアニメーションで消費者に訴求した。


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さらにモノ訴求のCMはテレビを使用したが、コト訴求のCMはYouTubeを活用し、視聴後は自社のWebメディアに誘導している。これは2010年からの10年間でテレビとデジタルメディアとの接触時間が逆転していることによる。「続きはWebで」という言葉を例に出すまでもなく、すでにデジタルメディアが主戦場になっている現在では顧客をどれだけ感動させられるかが重要であり、情報過多で伝わりにくい時代だからこそ、積極的にデジタルを活用すべきだという。

 

そうしたマーケティングを成立させるには、根底にブランディングの成立が重要であり、コミュニケーションの質を上げて「つながり」を重視した顧客との約束を示していくことが大切。これからのブランディングは、モノからコトへの訴求をデジタルで増幅させていくことだと言い切る。

 

さらにブランドを活用し、マーケティングに活かすにはCX(顧客体験)の理解が必須だ。これからの顧客体験はデジタルとリアルが混在するからこそ、商品やサービスとのタッチポイントの把握が重要になる。

 

そのCXを高めるには顧客の喜怒哀楽に着目することが重要であると後藤氏は語る。どれだけ自分たちを好きになってもらえたかを把握し、自分たちの意思をどのように届けるのかを企業の柱として考えていかなくてはならない。

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